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ベースアップ評価料(Ⅰ)と(Ⅱ)、どちらで届け出るべきか

令和8年度改定で外来・在宅ベースアップ評価料は点数・区分とも大幅に変わった。多くの医療機関は「まず(Ⅰ)」だが、賃金改善の原資が足りなければ(Ⅱ)を重ねる。届出の判断フローと、5月期限までに整理しておくべき数字を整理する。

#ベースアップ#届出#令和8年

この記事の結論

  • 多くの外来中心の医療機関は、まず(Ⅰ)を届け出る。初診17点/再診4点の定額で、事務負担も最小で済む。
  • 継続して賃上げに取り組む医療機関は、継続賃上げ加算相当の点数(初診23点/再診6点)に代えて算定できる。
  • (Ⅰ)の算定見込み額だけでは賃金改善の原資が不足する場合に、(Ⅱ)を重ねる。外来・在宅(Ⅱ)は 24区分(区分1〜24) で段階設計されている。うち区分13〜24は令和9年6月以降の算定(告示 注4)。
  • 入院基本料を算定している病院は、入院ベースアップ評価料の届出も別途必要。こちらは 500区分(1点〜500点) と極めて細かく設計されており、対象職員給与総額・延べ入院患者数から算出した指数【C】に応じて該当区分を選ぶ。区分251〜500は令和9年6月以降の算定(告示 注2)。

令和8年度改定で変わったところ

令和8年度改定で外来・在宅ベースアップ評価料は次の点が大きく変わっている。

  • 点数の引き上げ:(Ⅰ)は初診6点/再診2点(令和6年度)から、初診17点/再診4点(令和8年度)へ。継続賃上げ加算を算定する場合は初診23点/再診6点。
  • (Ⅱ)の区分拡大:令和6年度の(Ⅱ)は8区分だったが、令和8年度は 24区分 に拡張(区分13〜24は令和9年6月以降の算定)。点数体系は3層構造になっており、(a) 本則(注1)の初診/訪問は区分1の 8点 から区分24の 192点 まで、(b) 継続賃上げ算定機関(注5)は区分1〜12のみ規定で初診/訪問16〜160点、(c) 継続賃上げ+令和9年6月以降(注6)は区分1〜24で16〜256点、というように適用される注によって異なる。
  • 入院ベースアップ評価料も大幅拡張:令和6年度の165区分から 令和8年度は500区分 へ拡張(区分251〜500は令和9年6月以降の算定)。賃金改善必要額の粒度に合わせた微調整ができる。
  • 対象職員の拡大:従来対象外だった40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・勤務薬剤師が、新たに対象に加わった(ただし経営者・役員は除く)。
  • 届出書類の簡素化:「賃金改善計画書」(様式95、様式98の2)は 廃止されず、届出書と報告書に統合される形で実質的に簡素化 された。計画書単体の作成・押印・別送は不要になり、届出様式のデータ入力で完結する。ただし、対象職員の常勤換算人数・賃金改善前の基本給等総額・予定改善額といった計算や報告は依然として厳格であり、数字の精度が求められる点は従来通り。

(Ⅰ)と(Ⅱ)の構造

外来・在宅ベースアップ評価料は、賃金改善の原資をどこまで厚くするかに応じて2段階で設計されている。

(Ⅰ)は定額で初診・再診・訪問診療ごとに算定する。(Ⅱ)は区分ごとの段階点数で、単独では届け出られず、必ず(Ⅰ)と併せて届け出る必要がある。

点数の全体像:

区分点数(令和8年度)継続賃上げ時
外来・在宅(Ⅰ) 初診17点23点
外来・在宅(Ⅰ) 再診等4点6点
外来・在宅(Ⅰ) 訪問診療 イ79点107点
外来・在宅(Ⅰ) 訪問診療 ロ19点26点
外来・在宅(Ⅱ) 初診・訪問(本則・注1、区分1〜24)※13〜24は令和9年6月〜8点〜192点注5(区分1〜12)16〜160点 / 注6(区分1〜24)16〜256点
外来・在宅(Ⅱ) 再診等(本則・注1、区分1〜24)※13〜24は令和9年6月〜1点〜24点注5 2〜20点 / 注6 2〜32点
入院ベースアップ評価料(1日につき、区分1〜500)※251〜500は令和9年6月〜1点〜500点

「対象職員の給与 × 改善率」で必要原資を計算し、(Ⅰ)で足りるなら(Ⅰ)のみ。不足するなら外来・在宅(Ⅱ)の区分1〜24のうち必要額に最も近い区分を選ぶ。入院基本料を算定する病院はさらに入院ベースアップ評価料の区分(1〜500)を別立てで選ぶ、という順序で判断する。

対象職員と改善率

令和8年度の対象職員は、従来の看護師・薬剤師・事務職員・医療技術者・リハ職などに加え、新たに40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・勤務薬剤師が追加された。経営者および役員は対象外。派遣職員も、直接雇用職員と賃金改善の取扱いが同等であることなどの条件下で対象になる(疑義解釈02-147参照)。

改善率の基本的な考え方は次のとおり。

  • 対象職員全体で前年度比+3.2%の賃金改善を目指す
  • 看護補助者・事務職員については+5.7%を目安に改善

上記はベンチマークであり、実際の賃金改善額は「ベースアップ評価料を算定しなかった場合に支給されていたであろう賃金水準」との比較で評価される。

届出要件

(Ⅰ)の施設基準

  • 対象職員の賃金を令和7年度と比較して改善する体制を整備する
  • 就業規則等に改善の内容を明示
  • 届出様式にデータ入力し届出。賃金改善計画書(様式95)の単体提出は不要になったが、計画書に記載していた項目(対象職員の常勤換算数、改善前基本給等総額、予定改善額等)は 届出様式の中にそのまま入力する 構造のため、事前集計の手間自体はほぼ変わらない。

(Ⅱ)の施設基準

  • (Ⅰ)を届け出ていること
  • (Ⅱ)で算定した額の「全額」を賃金改善に充てる
  • 実績報告(様式99)の提出義務あり
  • 届出様式にデータ入力(様式98の2も同様に届出書・報告書と統合)

入院ベースアップ評価料の施設基準

  • 入院基本料・特定入院料を算定していること
  • 対象職員給与総額・外来・在宅(Ⅰ)による算定見込み・延べ入院患者数から指数【C】を算出し、別表6の区分表に従って該当区分を届け出る
  • 毎年3、6、9、12月に再計算し、区分の変更が生じる場合は届出を行った上で翌月から変更後の点数を算定。ただし、前回届出時点と比較して対象職員給与総額・外来見込み・延べ入院患者数・【C】のすべての変化が1割以内であれば変更は不要
  • 届出様式にデータ入力(外来のものとは別様式)

判断フロー

  1. 対象職員の名簿と令和7年度給与総額を集計する(賞与含む、法定福利費は任意)。40歳未満の勤務医師・歯科医師・勤務薬剤師が対象に追加されている点を見落とさないこと。
  2. 必要改善額 = 給与総額 × 改善率(全体+3.2%/看護補助・事務+5.7%を目安)を算出。
  3. (Ⅰ)のみで賄えるか試算(初診17点 × 件数、再診4点 × 件数、訪問79点/19点 × 件数、継続賃上げなら23点/6点/107点/26点で計算)。
  4. 足りなければ、外来・在宅(Ⅱ)の区分1〜24から不足額に近い区分を選ぶ。令和8年6月〜令和9年5月の期間は区分1〜12までが算定可能で、区分13〜24は令和9年6月以降。
  5. 入院基本料を算定していれば、入院ベースアップ評価料も別途届出。こちらは500区分で、施設基準の【C】算出式に給与総額と延べ入院患者数等を代入して該当区分を確定する。区分251〜500は令和9年6月以降。

5月期限までに準備しておく数字

届出(令和8年5月中)までに、以下の4つは必ず固めておく。

  • 対象職員の名簿(職種別常勤換算人数、派遣の有無、40歳未満勤務医師等の内訳)
  • 令和7年度の給与総額(対象職員のみ。賃金改善前の基本給等総額を厳密に集計)
  • 初診・再診・訪問診療の算定回数(直近3ヶ月の平均)と、入院の場合は延べ入院患者数
  • 必要改善額(上の計算に基づく)

計画書が別紙として不要になったことで事務負担は確かに軽くなったが、届出様式そのものに入力する数字の粒度は従来の計画書とほぼ同じ。ここを見誤ると、事後の実績報告で整合が取れず、遡及返還のリスクに直結する。

よくある落とし穴

1. 「改善」の比較対象を間違える

賃金改善の比較対象は令和7年度実績ではなく、「ベースアップ評価料を算定しなかった場合に支給されていたであろう賃金水準」。単純な前年比較ではない点に注意(疑義解釈02-150参照)。

2. (Ⅱ)の「全額を賃金改善に充てる」ルール

(Ⅱ)で得た収入は100%対象職員の賃金改善に充てる必要がある。運営費の補填に使うと実績報告で不適合となり、遡及返還のリスクがある。

3. 新設医療機関の届出

開設して1年未満の場合、比較対象となる前年度実績が無い。この場合の取扱いは疑義解釈で整理されているので、該当する場合は02-148を確認のこと。

4. 40歳未満勤務医師等の対象追加を見落とす

令和6年度は40歳未満勤務医師・歯科医師も対象外だったが、令和8年度から対象に加わった。名簿を令和6年度版そのままで作ると対象者が抜けるので、必ず年齢区分を再確認する。

5. 「計画書廃止」という誤解

「令和8年度改定で賃金改善計画書が廃止された」と紹介されているケースを見かけるが、正確には「計画書は廃止されず、届出書・報告書に統合される形で簡素化された」。届出様式にはほぼ同じ内容を入力するため、内部資料として賃金改善計画書の雛形は引き続き活用できる。事務負担は激減したが、計算の精度は従来同等に必要。

6. 区分数の誤認(令和9年6月境界)

「外来・在宅(Ⅱ)は12区分/入院は250区分まで」という解説を見かけるが、これは 令和8年6月〜令和9年5月に算定可能な範囲 の話。告示上の完全な区分構造は外来・在宅(Ⅱ)24区分・入院500区分。令和9年6月以降は区分13〜24(外来)・251〜500(入院)が追加で算定可能になるため、中長期の収益計画では24・500を前提に試算する必要がある。

電子申請のタイミング

令和8年の届出分から、電子申請窓口が5月25日から利用可能。それ以前に届け出る場合は紙申請のみ。5月1日〜24日に準備が整っている場合は、電子申請開始を待つより紙で出した方が早いケースが多い。

届出実務(チェックリスト)

令和8年4月20日に厚労省が発出した 施設基準届出チェックリスト は、5月1日に 一部訂正 が発出されている(病院用・医科診療所用・歯科診療所用の別添1〜3が更新)。本コラムで述べた区分数の一次ソースとしても機能する。

項番区分内容新設/要件変更届出期限
150基本診療料継続的に賃上げに係る取組を実施している保険医療機関の基準(外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の注5等)新設令和8年6月1日
168特掲診療料外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(1〜24要件変更令和8年6月1日
171特掲診療料入院ベースアップ評価料(1〜500要件変更令和8年6月1日

チェックリストで「1〜24」「1〜500」と明記されている点が、本コラム冒頭で示した24区分・500区分の一次ソース。解説記事の中には「12区分/250区分」と記載されているものも散見されるが、これは令和8年6月〜令和9年5月に実際に算定可能な範囲を示しているに過ぎない。届出様式自体は告示どおり24区分・500区分で用意されているため、中長期計画では完全な区分数で試算する必要がある。

なお、項番168(外来・在宅Ⅱ)と項番171(入院ベースアップ)は5/1訂正で 「新設」→「要件変更」 に分類が修正された。令和6年度改定で創設された制度の点数構造が拡張された(8区分→24区分/165区分→500区分)ため、新設ではなく要件変更が正確という整理。区分番号の拡張幅は変わらない。

同一様式で届出可能な項番

継続賃上げ加算(項番150)は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(項番166)・(Ⅱ)(項番168)・入院ベースアップ評価料(項番171)のいずれかを届け出る医療機関では 同一様式内で同時届出が可能。事務担当者は届出様式を個別に管理するのではなく、入院基本料・ベースアップ(Ⅰ)(Ⅱ)・入院ベースアップ・継続賃上げ加算をワンセット で運用する意識で臨むと漏れが減る。

通則第11号の減算(届出しない場合)

「継続賃上げ加算」(項番150)はチェックリストでも「入院基本料減算の免除」と注記されているとおり、医科点数表第1章第2部通則第11号 で規定される減算を回避するための届出である。届け出ていない医療機関は、入院基本料・特定入院料の所定点数から 1日につき次の点数が自動的に減算される

区分該当入院料減算額(1日)
急性期病院A一般入院料/急性期一般入院料1/看多協算定時の急性期病院B一般入院料・急性期一般入院料4121点
急性期病院B一般入院料(看多協非算定)/急性期一般入院料2〜6(看多協非算定)85点
地域一般入院基本料/一般病棟入院基本料の特別入院基本料/特定一般病棟入院料65点
療養病棟入院基本料42点
結核病棟入院基本料64点
急性期病院精神病棟入院基本料/精神病棟入院料(10対1・13対1・看多協算定の15対1)106点
看多協非算定の急性期病院精神病棟入院基本料15対1/精神病棟入院料(看多協非算定15対1・18対1・20対1・特別入院基本料)39点

1日65〜121点のオーダーは年間で見るとかなり大きな金額になる。「賃金改善体制が整っていないから届出しない」という判断は、実質的にこの減算を受け入れる意思決定になる。

通則第11号施設基準(減算回避の要件)

告示70号 別添1の9で、減算を回避するための施設基準が次のいずれかと定められている。

  1. 令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関(grandfather条項)
  2. ① 令和8年度の対象職員(医師・歯科医師を除く)に 5分5厘以上(看護補助者・事務職員は 8分以上)のベア等を実施した保険医療機関 OR 令和9年度に 8分7厘以上(同 1割3分7厘以上
  3. ② 令和8年3月31日時点で外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)を届け出ている有床診療所
  4. ③ 外来・在宅(Ⅰ)のみを届け出 + 令和8年度に 2分3厘以上 のベア等を実施した有床診療所
  5. 令和8年6月1日以降に新規開設した保険医療機関

つまり、入院ベースアップ評価料の既存届出機関は (1) で自動的に減算回避できる一方、未届出機関はベア等の実績で要件を満たすか、6月以降に新規届出するかの選択を迫られる。

疑義解釈その3で追加された論点(令和8年4月20日発出)

施設基準届出チェックリストと同日に発出された 疑義解釈資料(その3) では、看護職員処遇改善評価料・ベースアップ評価料関係で重要な論点が整理されている。本コラムの内容に直接影響する6問を抜粋する。

共通事項 問1 — 法定福利費の範囲と16.5%概算

賃金改善に伴い増加する法定福利費は、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども子育て拠出金・雇用保険料・労災保険料の事業者負担増加分が対象。実績報告書記載時の法定福利費額は 合理的な方法に基づく概算(最大16.5%) で計算可能と明示された。任意加入の退職手当共済・企業型確定拠出年金は対象外。

これにより、「対象職員の給与 × 改善率」で算出した必要原資に、概算で1.165倍した額を法定福利費込みの実支出として計画するのが事務上シンプル。なお、令和6年度の疑義解釈(その1)問17は本問により廃止された。

共通事項 問2 — 公費・労災は算入、自由診療は除外

外来・在宅(Ⅱ)・入院ベースアップ評価料の 区分計算における延べ患者数・診療回数 には、医療観察法等の公費負担医療や労災保険制度で診療報酬点数表に従ってベースアップ評価料が算定される患者の診療回数も算入する。一方で、自由診療の患者は料金の定め方にかかわらず算入しない

医療保険+公費+労災で得たベースアップ評価料の合計を、対象職員の賃金改善に充てる必要がある。

共通事項 問4 — 年度途中の雇用・退職

雇用月以降または退職月までは対象職員として扱える。対象職員数に1割以上の変動があり、再計算で区分変動が生じる場合は、算出月内に届出した上で翌月から変更後区分の点数を算定する(外来・在宅(Ⅱ)24区分、入院500区分とも同じ運用)。

ベースアップ評価料 問5 — 40歳到達の取扱い

賃金支払対象月の 初日時点で40歳未満 であれば対象職員として扱う。年度途中で40歳到達した医師・歯科医師・薬剤師は、到達月の前月分まで対象。1割以上の変動が生じた場合の届出運用は問4と同じ。

ベースアップ評価料 問6 — grandfather条項の確認

令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料を算定していた医療機関が、令和8年6月以降に入院ベースアップ評価料の届出を行わない場合、入院基本料等の減算対象にはならない と明示された。

これは「通則第11号の減算機構が消える」という意味ではなく、前述の 告示70号 別添1の9 通則第11号施設基準(1) で「令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関」が減算回避要件として明記されている、その grandfather 条項を疑義解釈で念押し確認したもの。

逆に、3月31日時点で入院ベースアップ評価料を届け出ていなかった機関は、6月以降に新規届出するか、ベア等の実績で施設基準(2)以下を満たさない限り、通則第11号の減算(イ〜トで121〜39点/日)の対象になる。既存届出機関と未届出機関で取扱いが非対称になっている点が、令和8年度設計の重要ポイント。

届出関係 問2 — 5月18日推奨期限の正式根拠

本コラムの「電子申請のタイミング」節で触れた5月18日の推奨期限は、疑義解釈その3 届出関係 問2 で 「可能な限り令和8年5月18日までの届出に努めること」 と正式に求められている。電子申請開始は5月25日から、という制約も同問で再確認されている。

疑義解釈その5で追加された論点(令和8年5月8日発出)

疑義解釈資料(その5) のベースアップ評価料関係(別添2)で計11問が示された。本コラムの判断に直接関係する6問を抜粋する。

共通 問1 — 令和7年度収入繰越の取扱い

令和8年度改定前のベースアップ評価料による収入を令和8年度に繰り越した場合、令和8年12月までに賃金改善措置を行う必要がある。令和8年度の賃金改善実績報告書に「前年度からの繰越額」「ベア等に伴う賞与・時間外手当・法定福利費の増加分に用いた額」として記載する。

共通 問2・問3 — 法人内通算届出の範囲

法人内の同一給与体系に基づく複数の保険医療機関等で月額賃金総額・対象職員数を通算して届け出る制度が新設された。一方、外来・在宅(Ⅰ)の 注5(継続的な賃上げ取組)の施設基準は法人内通算不可で、届出を行う保険医療機関等ごとに個別に施設基準を満たす必要がある。

共通 問5 — 令和6年4月〜令和8年5月開業機関の取扱い

令和6年4月以降令和8年5月以前に開業し、ベースアップ評価料(Ⅰ)を未届出だった機関は、令和6年3月時点の基本給等総額との比較が不可能。この場合は 「開業時点の給与体系」による基本給等総額と当該評価料を算定する月時点の基本給等総額を比較 し、施設基準の水準を満たせば継続的な賃上げ加算の届出が可能。

共通 問7 — 注5を含む(Ⅰ)の収入実績額計算

賃金改善実績報告書の「ベースアップ評価料等による収入の実績額」には、注5(継続賃上げ)に該当する点数分は含めず、本体点数(17点/4点等)のみで計算する。例えば(Ⅰ)注5を算定していても、収入実績額は初診時17点・再診時等4点で換算する。

共通 問8・問9 — 法人本部所属職員・出向者

  • 法人本部所属職員: 主として当該保険医療機関の業務を行っている場合は対象職員に含む
  • 在籍型出向者(出向元と労働契約維持・出向先で給与): 出向先の保険医療機関の対象職員として区分計算・実績報告
  • 出向先で得たベースアップ評価料収入は出向元に支払うなど合議で精算

共通 問10 — 「直近1月」の定義

施設基準届出時の「届出を行う月の直近1月」は 「届出の作業を行う時点で把握可能な直近1月」 を指す。令和8年5月に届出作業を行い6月から算定開始する場合は 令和8年4月分 が「直近1月」。

その4の一部廃止

疑義解釈その5により、疑義解釈その4 別添1の問19・問20・問24は廃止 となった。本コラム関連では問題ないが、その4を参照する場合は注意。

4月24日事務連絡 — 既存届出機関でも改めて届出が必須

令和8年4月24日に厚労省保険局医療課から発出された 事務連絡「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料に係る施設基準の届出について(周知)」 は、本コラムの届出判断に 直接影響する決定的な文書 である。原文の核心部分を引用する。

なお、令和8年度診療報酬改定以前にベースアップ評価料に係る届出を行っており、引き続き令和8年6月1日以降もベースアップ評価料を算定する保険医療機関等であっても、施設基準において求められる内容が変更されていることから、令和8年6月1日までに改めてベースアップ評価料の届出を行う必要がある ことに留意されたい。

つまり、既存届出機関であっても 「同じ届出を続けたい」だけで自動継続にはならず、6/1までに改めて届出が必要。施設基準の内容(対象職員拡大、改善率水準、令和7年度との比較規定等)が変更されているのが理由。

通則11号 grandfather と4/24事務連絡の整合

先述の通り、既存届出機関は 入院基本料の通則11号減算 については grandfather 条項(施設基準(1))で再届出なしでも回避できる(疑義解釈その3 看ベ問6)。一方で ベースアップ評価料そのものの算定 を6月以降も継続したい場合は、4/24事務連絡により改めて届出が必要。両者は次のように整理される。

観点既存届出機関が再届出しない場合
入院基本料・特定入院料の本体点数通則11号減算なし(施設基準(1)gr​andfather)
ベースアップ評価料そのものの算定6月以降算定不可(4/24事務連絡により再届出必須)

「再届出しない」という選択は、本体減算は回避できるが、賃金改善のための+α収入を放棄することを意味する。

同事務連絡で公表された届出様式早見表

事務連絡別添に、医療機関の現状別に必要な様式を整理した 「ベースアップ評価料の届出に必要な様式 早見表(令和8年度版)」 が掲載されている。

主要パターンは以下:

機関類型これまでの算定状況6月以降の算定対象必要様式
病院(大半)R8.3月以前から算定外来・在宅(Ⅰ)注5 + 入院ベースアップ様式95・97・98
病院(外来のみで賃上げ可)R8.3月以前から算定外来・在宅(Ⅰ)注5のみ様式95
病院(新規・賃上げ実績示せる)6月以降開始+R6〜R8で計5.5%(事務8%)実績外来・在宅(Ⅰ)注5 + 入院ベースアップ様式95・97・98
病院(新規・賃上げ実績未)6月以降開始外来・在宅(Ⅰ)+ 入院ベースアップ様式95・97(入院料減算対象)
有床診療所既存・継続入院ベースアップを選択様式95・97・98
無床診療所(大半)R8.3月以前から算定外来・在宅(Ⅰ)注5のみ様式95

「ベア評価料(Ⅰ)のみ」「(Ⅰ)+(Ⅱ)」「入院ベースアップを選択」の3パターンと、賃上げ実績の有無で計12通り程度に整理されている。詳細は4/24事務連絡別添(早見表)を直接確認のこと。

参考情報

関連項目

点数表(歯科)

P001
歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
4664区分
P002
歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)
1256120区分
P003
入院ベースアップ評価料(1日につき)
19999区分
本コラムは執筆時点の情報に基づいています。算定要件や届出要件の最新情報は必ず 厚生労働省の告示・通知の原文をご確認ください。